[車いすユーザーが外出先で役にたった時の例]
Dさんは自走式スポーツタイプの車いすユーザーだ.車いすバスケも得意である.しかし,10センチを超える段差や未舗装の道を通るのは少々覚悟が必要.以前,調子に乗って越えようとした段差で転倒してしまったことがあったし,未舗装の道では前の日に降った雨の影響からか,土がぬかるんでタイヤがスタックしてしまい,抜けられなくなって大変な目にあった.もちろん,泥だらけ.
事前に通る予定の道を調査すれば無用なリスクは避けられるけど,気ままな外出が何より大好きなDさんである.外出時は気が向いた方に車いすを走らせるのが一番の醍醐味だと考えている.どこに行っても,ほとんどの道は車いすで通行できるはずだが,初めての道では実際は行ってみないと分からないことも多いし思わぬ事故にもつながる.だから,最近では専用アプリでこの先の道について,他の車いすユーザーの走行履歴があるかどうかは一応調べる.その道の周辺には多数の車いす走行の履歴があるにもかかわらず,特定の経路だけ走行履歴が残されていないのはキケンのサインだ!怖いもの見たさで行くのはいいが,間違いなくその先には進めないだろう.迂回するのが正解である.
Dさんは外出時には,専用アプリをバックグラウンドで立ち上げて必ず走行履歴を残している.これまで,50km以上の走行履歴を残してきた.自分の通った道を,すべての車いすユーザーが通行できるとは思わないが,少なくとも同じタイプ車いすなら通行できる可能性は高いだろう.専用アプリには車いすの情報を登録できるため,走行履歴を閲覧する時は自分の車いすに合わせてフィルターにかけることも可能である.ただし,Dさんはもっぱら「all」である.